近世になると、武士は政治権力を独占するようになります。同時に、武士は武芸だけでなく、官僚としての力量や教養も問われるようになりました。この企画展では、そうした近世武家社会の一端を紹介します。
T戦国の世から「平和」の世へ では、豊臣秀吉・徳川家康によって天下統一が行われる16世紀末から17世紀を取りあげます。家康の子であり、後に紀伊藩主となる頼宣が大名として成長する時期でもありました。戦乱が終わり、「平和」が到来するなかで、頼宣の家臣団が形成されていく様子を、藩士の家に残された資料からご覧いただいきます。なかでも、壱岐家文書は今回初公開の資料です。壱岐家は戦国時代から近世初期にかけて活躍した武将・小早川秀秋の家臣で、のち紀伊藩に召し抱えられました。壱岐家文書から、筑前国や備前国の領主であった小早川氏の支配の様子も知ることができます。
U文化隆盛の世から激動の世へ では、18世紀末から19世紀にかけて藩主となった10代治宝・11代斉順の時代を取りあげます。この時期は紀伊藩では藩政改革が行われる一方で、御庭焼に代表されるような藩主主導による文化も隆盛します。今回初公開の由比家資料は、藩主・治宝と藩士・由比家との文化的な関わりが具体的にわかるものです。
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