2008年 6月7日(土)−7月13日()

 

 江戸時代、御三家の一つであった紀伊藩は、徳川将軍家とゆかりの深い藩として、全国的にも重要な位置づけにありました。そのため、歴代の紀伊藩主には、政治的な影響力のみならず、文化的にも高い知識や教養が求められたのです。

 紀伊藩の初代藩主となった徳川頼宣(よりのぶ)の愛用品や、頼宣が父の家康から受け継いだ遺品は、そうした文化的な素養の高さを物語る貴重な資料と言えます。また、歴代の藩主の中には、みずから書や絵画・茶の湯や陶芸などを制作した人物もいました。こうした紀伊藩主と関わる資料の中には、中国や西洋の影響を受けた作品も多く、世界に目を向けた先進的な藩主の姿も浮かび上がってきます。

 この企画展では、紀州東照宮(きしゅうとうしょうぐう)や長保寺(ちょうほうじ)など紀伊藩主ゆかりの寺社に伝えられてきた作品を中心に、代々の藩主の文化活動をご紹介します。

 

お殿様はやっぱりすごい!
歴代紀伊藩主の文化活動

   

文雅(ぶんが)ってなに?

 文雅とは、文学や学問・芸術などに巧みで、風流なことを指します。紀伊藩は、徳川将軍家とゆかりの深い御三家の一つとして、全国的にも重要な位置づけにありました。そのため、歴代の紀伊藩主には、政治的な影響力だけでなく、こうした文雅に関わる文化的な教養も求められたのです。

   

家康の遺宝と頼宣(よりのぶ)

 紀伊藩の初代藩主となった徳川頼宣は、徳川家康の10男です。幼少より家康に愛され、家康が亡くなった後には、その遺品を分け与えられています。こうした家康の遺品は、和歌浦の紀州東照宮に奉納されました。家康や頼宣ゆかりの資料は紀伊藩の文化に対する高い素養を物語る貴重な資料です。

   

歴代藩主の得意分野

 歴代の紀伊藩主は、いずれもある程度の教養を身につけていたようですが、それぞれの得意分野がありました。たとえば、2代藩主の光貞(みつさだ)は、絵が上手だったようで、いくつかの絵画作品を残しています。一方、6代藩主の宗直(むねなお)は、和歌を得意としたらしく、みずから歌集を作ったほどです。

   

御庭(おにわ)をめぐる雅(みやび)

 歴代の紀伊藩主の中で、最も文化に造詣の深かった10代藩主の治宝(はるとみ)は、別邸・西浜御殿の偕楽園(かいらくえん)という庭で、やきものや漆器を作らせました。また、治宝の養子にあたる11代将軍の斉順(なりゆき)も、和歌山城内の三の丸や別邸・湊御殿などの庭で清寧軒焼(せいねいけんやき)というやきものを焼かせています。この時期、藩主の御庭をめぐって風雅な文化活動がおこなわれたようです。

   

世界へのまなざし

 紀伊藩主が集めたり作らせた資料の中には、中国や西洋の影響を受けたものも多く残されています。当時は舶来品や輸入品が貴重であり、それらを持っていることが、紀伊藩の文化的なレベルの高さを示したのです。また、こうした資料からは、全世界に目を向けた藩主の先進的な姿も見えてきます。

   

全ての解説が分かりやすい!

 展示資料の全ての解説を、子どもにも分かりやすいような、専門用語の少ない、簡単な解説にしました。作品のタイトルも、全て分かりやすい言葉で説明しています。

 





 

 会 期 中 の イ ベ ン ト

 

 ミュージアム・トーク(展示室での展示解説)

    日 時 : 

621日(土)、29日()、75日(土)、13日(

    *担当:安永拓世(当館学芸員)
    *いずれも、午後30分〜30分。
    *入館料必要です。
    *申込不要です。

 

【休館日】月曜日

【開館時間】午前9時30分〜17時
       ※入館は16時30分まで。

【入館料】一般260円(210円)・大学生150円(120円)
             ※( )内は20名以上の団体料金

※高校生以下、65歳以上の高齢者、障害者の方、および県内に
 在学中の外国人留学生(外国人就学生を含む)は無料

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