ぐんえんずびょうぶ ながさわろせつ
群猿図屏風 
長沢芦雪筆
(草堂寺蔵)


六曲一双  紙本墨画
江戸時代 天明7年(1787)
各縦159.0p 横361.0p

 右隻(うせき)には岩山に座る一匹の白い猿を描き、左隻(させき)には水辺で戯れる五匹の猿を描く。
孤高の白猿と、家族らしき猿たち。黒々とした険しい岩山と、白いなだらかな水辺。
右と左で、白と黒、孤独と群れ、鋭さと穏やかさを絶妙に対比させ、
屏風という一対の大画面が持つ空間演出力を、効果的に利用している。
また、屏風を広げる順序にも意図的で、特に右隻は、第五扇・第六扇を広げてはじめて、
何が描かれているのか分かるような仕掛けになっている。
筆者の長沢芦雪(1754〜99)は、丹波篠山(たんばささやま)の出身で、
京都の円山応挙(まるやまおうきょ)に絵を学んだ。
本図は、芦雪が天明7年(1787)に草堂寺(白浜町)を訪れたときに描いた屏風。