平安時代以来、皇族から庶民まで多くの人々が、
熊野をめざして難行苦行の道を歩き続けました。
現代よりもはるかに交通が未発達だった時代、
人々は何故あえて険しい道のりを越えて
熊野へと向かったのでしょうか。

この特別展では、紀伊路・中辺路と呼ばれた熊野参詣道沿いに
残された数多くの文化財を紹介するとともに、
熊野詣の最初の目的地であった熊野本宮大社に
伝えられた宝物から、人々が熊野に込めた思いと
その歴史を明らかにするものです。
世界遺産登録から3年目を迎えた今年、改めて人々を
惹きつけてやまない熊野の魅力の源泉を探ります。

 


    みどころ


        
 熊野本宮大社の宝物が一堂に展示される初めての機会!

     
・熊野本宮大社は明治22年(1889)の熊野川水害で甚大な被害を受けました。
      
この水害を乗り越えて、「よくぞこれほどの宝物が残されてきた」と改めて実感する資料群で、
      初公開のものも多数含まれます。
                            〔神額 熊野本宮大社蔵 慶長8年(1613) 和歌山県指定文化財

    
初公開! 湯峯温泉・東光寺の不動明王像

     
・熊野参詣の人々が疲れを癒した湯峯温泉にある東光寺。展示に先立つ調査で、像内に
      
制作年(寛正4年(1463))と東寺大仏師であった康永の名を示す墨書があることが判明。
     ・その他、東光寺の仏像群が会場に勢揃いします。
                                         不動明王坐像 東光寺蔵 寛正4年(1463)

    
初公開! 旅人の強力な味方“汗かき地蔵”

     
・熊野古道随一の難所、鹿ヶ瀬峠の麓・地蔵寺に伝わる“汗かき地蔵”。
      
峠を越える旅人の背中を押したために額に汗をかいていると伝えられます。
      
参詣者の道中を守護する神仏の存在を身近に感じて下さい。
                                             〔地蔵菩薩立像 地蔵寺蔵 鎌倉時代〕

    
初公開! 後鳥羽上皇の肖像か!?

     
・生涯で28回も熊野に参詣した後鳥羽上皇。
      その後鳥羽上皇と伝承される木彫像が、熊野参詣者への「接待所」が置かれていた寺院で発見。
      像主の迷に迫ります。
                                〔僧形倚像(伝後鳥羽上皇像) 歓喜寺蔵 南北朝時代

    初公開! 平安時代の金剛童子像

     
・熊野への道中に所在する九十九王子のうち、滝尻王子の祭神・滝尻金剛童子像を初公開。
      童子形の王子社祭神として現存唯一の作例です。
                                  〔滝尻金剛童子立像 滝尻王子宮十郷神社蔵 平安時代〕

 

   なお、会期中、一部の作品の展示替えを行います。
 


  ◆記念講演会「熊野御幸道と小栗街道」(博物館友の会共催)

    日時 11月4日(日) 13時30分〜15時

       講師 服部英雄氏(九州大学大学院教授)

       会場 県立近代美術館(博物館となり)1階特別会議室

       参加無料 ただし、電話・FAX・ハガキのいずれかでの参加申込が必要です。

            FAX・ハガキの場合は、氏名・電話番号を明記して下さい。

           〒640-8137 和歌山市吹上1-4-14 和歌山県立博物館 
                     TEL:073-436-8670 FAX:073-436-2467


  ◆博物館講座

    
いずれも13時30分〜15時  会場 県立近代美術館特別会議室

       
10月14日(日) 熊野九十九王子と熊野参詣記(高木徳郎・当館学芸員)

       10月28日(日) 近世の熊野本宮(前田正明・当館主査学芸員)

       11月10日(土) 仏像・神像からみる熊野の歴史(大河内智之・当館学芸員)

       参加無料(申込不要)


  ◆ミュージアムトーク(展示室内での展示解説) 

    
いずれも13:30〜14:30

       
10/13(土)・10/27(土) 入館料必要(申込不要)
       11/18(日)は、「関西文化の日」の為、入館料は不要です。
 

出陳資料リスト

コ ラ ム

 開館時間:9時30分〜17時
       (ただし、入館は16時30分まで
 休館日:毎週月曜日
  (ただし、10月8日(月)は祝日のため開館翌9日(火)休館

 入館料:一般 800円(650円) 大学生500円(400円)
  ( )内は団体料金
  高校生以下、65歳以上の方、障害者手帳をお持ちの方、
  県内在学中の外国人留学生・外国人就学生は、無料です。
  「関西文化の日」(11月17日・18日)の入館料は、不要です。

 


■主催   和歌山県立博物館・文化庁
■後援   田辺市教育委員会・熊野本宮大社・NHK和歌山放送局・テレビ和歌山
■協力   (財)和歌山県文化財保護協会・(社)和歌山県文化財研究会
        和歌山県立博物館友の会