平成20年  9月6日(土)〜10月5日(日)

 

 

 

 和歌山県には、高野山や熊野三山などの大寺社に膨大な数の古文書が残され、紀州の歴史を解明する史料として、現在、様々な場面で活用されています。しかし、和歌山県内に残された古文書は、これらばかりではありません。県内各地域に点在する中小の寺社や個人宅、さらには信仰集団である講などにも、実に個性豊かな古文書群が残されており、紀州という地域の歴史的位置づけを知る上で、かけがえのない価値をもった史料が多くみられます。

 今回の企画展では、紀北から紀中地域に残る中世文書を中心に、村や町を舞台に活動する土豪や一般庶民の生産や暮らし、信仰や娯楽など、リアルな日常生活の実像がうかがえるものを数多く展示しています。くずし字で書かれていて、なかなか親しみやすいものとは言えない古文書ですが、古文書を見る時のコツなども解説していますので、どうぞごゆっくりとご覧頂き、中世の紀州で、必死に毎日を生きていた人々の息づかいを、少しでも感じていただけたら幸いです。

 

み ど こ ろ 解 説

 

原本初公開!
中世・海南地域の土豪の家に伝わった古文書

・現在の海南市北部は、かつて三上荘と呼ばれ、湛慶上人という僧によって開発 された地域です。湛慶上人は、現在の海南市別所に願成寺を建立し、そこを拠 点に未開の山林を開発していきました。

・願成寺は、その後、この地域の土豪たちが活動の拠点とし、周辺の村などとも 争うようになりました。古文書はそうした争いの中で生み出されたもので、願 成寺と土豪たちの置かれていた状況が、手に取るように分かってきます。

・この地域は、戦国時代、和歌山市から海南市北部の土豪たちが幅広く連合した 「紀州惣国」の勢力下にありました。紀州惣国と百姓たちの間で繰り広げられ た、年貢納入をめぐる生々しいやりとりを伝える古文書も展示します。             

 

躍動する中世百姓の世界
農業の活性化に体を張った百姓たちの残した古文書

・現在の紀の川市東野周辺には、粉河寺の支配する東村という村がありました。 この村では、水不足を解消するため、百姓たちが自ら溜め池を築造しました。

・現在、夏の初めの風物詩として、たくさんの見学者を集める「粉河祭」。その 起源は、粉河寺の六月会という祭礼にさかのぼります。中世の六月会は、子ど もを「主役」に、お神輿の「お渡り」も出る壮麗なものでした。この祭にかけ る、当時の村人たちの思いを、古文書から読み取ります。

 

「由緒」にかける執念
「殿様からもらった文書」まで作ってしまった男

・紀伊藩に軍学者として仕えた宇佐美定祐は、自らの先祖が源頼朝から徳川家康 まで、名だたる武将から、その戦功を讃える文書をもらった、としてその文書 を自分で作ってしまいました。さらにその文書がホンモノであることを証明し ようと、自分の仕える殿様がその文書を見たという、自分宛の手紙まで作って しまいました。宇佐美定祐という男、一体どんな男なんでしょう?!

 



 


作品紹介


目 録


コ ラ ム


博物館ニュース

 


 

 

ミュージアム・トーク(展示解説)の日程

 

9月14日(日)・15日(月・祝)・20日(土)・23日(火・祝)・28日(日)

いずれも、13時30分〜14時30分
申込不要は不要ですが、入館料が必要です。

(担当:当館学芸員 高木徳郎)

 


   

【休館日】月曜日(ただし、9月15日は開館、翌16日は休館)
【開館時間】9時30分〜17時 ※入館は16時30分まで。
【入館料】一般260円(210円)・大学生150円(120円)
           ※( )内は20名以上の団体料金
      ※高校生以下、65歳以上の高齢者、障害者の方、および県内に
        在学中の外国人留学生(外国人就学生を含む)は無料。

 

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