熊野雑事


上皇や貴族たちの熊野参詣が盛んになると、院領や摂関家領の荘園内の住民にとっては、彼らの御幸や参詣に伴う雑事その他の諸役が重い負担となった。雑事には、食料や燃料の供給のほか、人夫や伝馬などの労働奉仕までもが含まれている。荘内での調達が可能なものも多いが、規定の品目を所定の期日までに、確実に上皇や貴族の宿泊地に届けておかなければならず、荷を負って山路を越える道中も考えあわせれば、過酷な賦課であった。