和歌山県は、教科書などによく取り上げられる「荘園(しょうえん)」の多い地域として知られています。荘園とは、古代から中世にかけて、貴族や大寺社の私有地から発展した地域社会の単位ですが、とくに紀北の紀の川流域や紀中・紀南の海岸沿い地域では、高野山・熊野三山などの寺社勢力や、摂関家などの貴族勢力が領有する荘園が多く存在し、地元で勢力を伸ばす武士団や百姓とのせめぎ合いを繰り返しながら、独特の世界を作り上げていました。
一方、荘園は、中学・高校の教科書で必ず取り上げられながらも、きわめて難解で教えにくい項目だという声がよく聞かれます。この企画展では、荘園の成り立ちや仕組み、さらには武士団や百姓による領有・開発をめぐる争いなどの様相が分かる資料を、できるだけ具体的に、分かりやすく展示し、当時の荘園の世界の実態をご紹介します。
また、本企画展では、日本の荘園史・民衆史研究の先駆者として知られる和歌山県かつらぎ町出身の歴史家・西岡虎之助(にしおかとらのすけ)に関する資料もあわせて展示します。
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