展示のみどころ


  

【みどころ】

 ・国宝2件(4点)、重要文化財3件(4点)、和歌山県指定文化財5件(15点)を含む、

  94件266点の資料を一堂に展示します。

 ・道成寺所蔵の道成寺縁起(どうじょうじえんぎ)(重要文化財)上下2巻の全巻全場面を、全期間に渡って

  公開します。全巻を一度に開いて見ることができるのは、室町時代(16世紀)に

  制作されて以来、今回が初めてのことです。

 ・道成寺本堂に安置されている奈良時代の千手観音立像(せんじゅかんのんりゅうぞう)(重要文化財、像高243.5㎝)  を、博物館に移して特別に展示します。あわせて、特別展の事前調査で新たに発見

  された、奈良時代制作の同像の手や足、光背の部品を初公開します。

 

ポイント①


①-1 重要文化財 道成寺縁起 上巻・部分(道成寺蔵)


①-2 重要文化財 道成寺縁起 下巻・部分(道成寺蔵)

重要文化財 道成寺縁起(道成寺蔵)

 道成寺所蔵の道成寺縁起(どうじょうじえんぎ)は、室町時代後期、16世紀に描かれた絵巻で、重要文化財に指定されています。徐々に蛇の姿に変身しながら追いかける女性と、逃げる僧のスリリングな物語が伸びやかな筆致で描かれ、見るものを飽きさせません。のちになって、女性は清姫(きよひめ)、僧は安珍(あんちん)とよばれるようになり、この安珍・清姫の物語は全国に広く知られています。

 この絵巻物が、旧国宝(現・重要文化財)に指定されたのが大正6年(1917)のこと。ちょうど100年目の節目となる本年、史上初めて、上巻11m25㎝、下巻11m12㎝の二巻を、巻頭から巻末までその全貌を余さず公開します。

 

ポイント②


②-1 重要文化財 千手観音立像


  ②-2 新発見・千手観音像合掌手


  ②-3 新発見・千手観音像荘厳具

  重要文化財 千手観音立像(道成寺蔵)

 ②-1は、現在、道成寺本堂の内陣正面に安置される千手観音立像(せんじゅかんのんりゅうぞう)です。昭和62年(1990)、本堂の背面側に安置される秘仏(ひぶつ)北向(きたむき)千手観音立像の像内から、ばらばらの部材として発見された奈良時代(8世紀)の仏像です。その後、部材を組み合わせて復元修理が行われています。日本における最古級の千手観音像で、道成寺の創建のころようすを今日に伝えています。

 本展の事前調査において、この千手観音像の旧部材が、寺内から新たに見つかりました。腕の部材が10点のほか足先部の部材など計13点で、このうち②-2の腕部材2点は、胸の前で手を合わせる合掌手(がっしょうしゅ)という、たいへん象徴的な資料です。1200年以上前の指のしなやかさ、美しさを今日に伝えています。

 さらに②-3の荘厳具(しょうごんぐ)は、3つに分かれた部材が別々の箱から見つかり、組み合わせてみると、仏像の頭の後ろにつけられる光背(こうはい)の部品(あるいは天蓋(てんがい)部品の可能性を残す)であることが分かりました。奈良時代の荘厳具は、和歌山県内ではこれが初めての発見です。