展示のみどころ


  

1  藩主の書 — 書(しょ)「瑞雲(ずいうん)」 徳川治宝筆(とくがわはるとみひつ)

(和歌山県立博物館蔵、展示番号1) 

 紀伊徳川家10代藩主・治宝(1771~1853)は、「文雅の藩主」として知られ、自らも書画などを制作した。これは自筆の大幅で(縦59.3㎝・横120.2㎝)で、端正な行書であらわす。「瑞雲」とは、吉兆(きっちょう)を表すおめでたい雲の意。

 

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2 学者の書  - 三行書(さんぎょうしょ) 
                川合梅所筆
(かわいばいしょひつ)

   (和歌山県立博物館蔵、展示番号17)

 幕末の漢学者・川合梅所(1794~1871)は、文学のほか書画もよくし、藩校・学習館(がくしゅうかん)の督学(とくがく)(校長)となった。川合小梅(こうめ)の夫でもある。この書は、『周易(しゅうえき)』から引用した句で、書風は中国・明時代の文徵明(ぶんちょうめい)(1470~1559)などの影響がうかがわれる。

 

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3 文人の書 - 七絶詩書(しちぜつししょ)「帆影(はんえい)
                      祇園南海筆
(ぎおんなんかいひつ)

   (和歌山県立博物館蔵、展示番号25)   

 紀州の三大文人画家の一人で、紀伊藩の儒学者であった祇園南海(1676~1751)は、詩・書にもすぐれていた。この書は、自作自筆の作品で、中国の故事をふまえながら、秋の川面にうかぶ小舟を詠(よ)む。中国からの強い影響をうけた「唐様(からよう)」の書風である。