主な作品の紹介


和歌山県指定文化財
大鉦鼓縁
(おおしょうこのふち)     1対
 
〔丹生都比売神社蔵〕

 鉦鼓(しょうこ)は、雅楽で使う打楽器の一つで、
鋳銅製
(ちゅうどうせい)で深皿の形につくられます。
肩に小穴が二つあり、輪の形をした枠
(わく)から
ひもでつるします。奏者は立って、2本の桴
(ばち)
鉦鼓のへこんだ方を打ちます。

 これは、直径およそ
25pの大型の鉦鼓を
つるすための木の枠で、下の長方形のほぞを
台に差し込んで立てます。火焔
(かえん)の形の中に、
それぞれ鳳凰
(ほうおう)や龍が2頭で向かい合う
デザインになっています。(写真は鳳凰)


 

一鼓(いっこ) 1面  〔紀州東照宮蔵〕

   奈良時代以前に、中国から日本に伝わった腰のくびれた細腰鼓(さいようこ)
よばれる楽器には、一鼓・二鼓
(にのつづみ)・三鼓などがあり、形は同じですが、
この順に楽器が大きくなっていきます。現在、雅楽で使われているのは、三鼓だけです。
胴の両側に皮を張った丸い枠
(わく)をあて、ひもで枠どうしを結んで使います。
楽器は下に置き、左手で支えながら、右手に持った桴
(ばち)で右の皮をたたきます。
雅楽では、曲の一定のリズムを示し、テンポをコントロールする役割があります。
初公開。
 


鳳笙(ほうしょう) 銘「初音(はつね)」 1管 
〔高山寺蔵〕

 中が空洞の匏(ほう)という土台に、長さの異なる17本の
竹が丸く束
(たば)ねられて差しこまれています。
竹の下の方には金属製のリード
((した))があり、
吹口から息を吹き込んだり吸ったりして、
指孔
(あな)を押さえた管の音を出します。
ハーモニカやアコーデオンと同じ発音の原理です。
なお、2本の竹にはリードがなく、音は出ません。
雅楽では、同時に複数の音を鳴らし、
和音によって合奏に加わります。
全体の姿を、羽を広げた伝説上のめでたい鳥の
鳳凰
(ほうおう)に見立てて、鳳笙とよばれます。