作品紹介


 

国 宝

古神宝類(こしんぽうるい)のうち 朱塗唐櫃(しゅぬりからびつ)
 (足つきの箱) 

明徳元年(1390) 熊野速玉大社蔵

 熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ)の「古神宝類(こしんぽうるい)」を収納していた箱です。唐櫃(からびつ)は足のついた箱のことで、このような箱は、高い足がついているため、風通しがよく、湿気(しっけ)や虫の被害から中のものを守り、長く保存するのに適しています。熊野速玉大社に多くの「古神宝類」が残されているのは、この箱に収められていたからともいえるでしょう。


和歌山県指定文化財

 (かんむり) (つけたり) 芦雁蒔絵冠箱(ろがんまきえかんむりばこ) 
(徳川家康所用
(とくがわいえやすしょよう)
 (徳川家康が使った冠とその箱) 

桃山~江戸時代(16~17世紀) 紀州東照宮蔵

 徳川家康(1542~1616)が使っていた品々のうち、家康の十男である徳川頼宣(よりのぶ)(1602~71)が遺品として受け継ぎ、頼宣が紀伊藩主となった後、紀州東照宮(きしゅうとうしょうぐう)へ奉納(ほうのう)したものです。芦(あし)や雁(かり)の文様をあらわした華麗な箱や、さらにその外の桐箱に収納されて伝わりました。紗(しゃ)という絹を漆(うるし)で塗り固めた冠(かんむり)は、こわれやすい資料ですが、こうした箱に入れて大切に伝えられたからこそ、残されたと考えられます。


  
 
清寧軒焼(せいねいけんやき) 赤楽茶碗(あからくぢゃわん) 銘(めい) 福禄寿(ふくろくじゅ)
 (「福禄寿」という名前の赤い茶碗) 

江戸時代(19世紀) 和歌山県立博物館蔵

 清寧軒焼(せいねいけんやき)は、紀伊藩11代藩主の徳川斉順(なりゆき)(1801~46)が焼かせた御庭焼(おにわやき)ですが、この茶碗は付属資料から10代藩主の徳川治宝(はるとみ)(1771~1852)が作り、楽旦入(らくたんにゅう)(1795~1854)という京都の陶工(とうこう)が焼いたようです。杉(すぎ)の外箱(そとばこ)、黒漆塗(くろうるしぬり)の中箱(なかばこ)、桐(きり)の内箱(うちばこ)のほか、茶碗を包む仕覆(しふく)や、中箱を包む更紗(さらさ)の裂(きれ)など、多くの箱や包みが付属します。割れやすい陶磁器などの茶道具の収納には、こうした箱や包みが大きな役割を果たしました。