主な作品の紹介
熊本藩士らが伊勢参りをした際の道中記 |
伊勢参りの道中、大坂、京、奈良、高野山などを旅した日記。訪れた名所・旧跡の様子、京や大坂での見世物や芝居の見物、旅先での買い物と費用などが逐一記され、旅の様子を詳しく知ることができます。吉野から高野山を訪れた一行は、くらがり峠(橋本市)の茶屋で有名な饅頭を食べたこと、学文路(かむろ)で泊まった宿が気に入らなかったことなども記されています。 道中日記(どうちゅうにっき) 井上庸清(いのうえつねきよ)筆 |
桑山玉州が橋杭岩と那智滝とを描いた屛風 |
作者の桑山玉洲(1746~1799)は文人画家です。橋杭岩(写真)と那智滝とがセットになっています。水墨を基調とする画面のなかで、家並みなどに岩絵具の一種である代赭(たいしゃ)(だいだい色)や藍(あい)を薄く使っています。また、点墨(てんぼく)でアクセントをきかせ、濃淡のコントラストやぼかしの技法なども巧みに使われています。晩年に描かれたとされるこの屛風は、玉洲の代表的な作品といわれています。 那智山橋柱巖図屛風(なちさんはしぐいいわずびょうぶ) |
160年ほど前の安政南海地震津波の様子が記された板壁 |
本郷村(印南町印南)にあった「かめや」の蔵内部の板壁(杉材)に記された安政地震津波の記憶です。蔵はすでに解体されましたが、印南の人々の努力で文字が記された板壁の部分は残されました。この板壁には、安政南海地震が起こる5か月前の嘉永7年(1854)6月に伊賀上野地震があり、大きな震動とともに、「すず波」(小波)があったこと。11月5日の南海地震に伴う津波で襲われた印南の被害状況や避難の様子などが記されています。慶応3年(1867)の高潮でこの板壁が浸かったため、書き直されたようです。 かめや板壁(いたかべ)書置(かきおき) 弥兵衛(やへえ)筆 一枚 |