展示のみどころ


 

1 根来寺(ねごろでら)山内にあった仏画—釈迦十六善神像(しゃかじゅうろくぜんじんぞう)
                                  (個人蔵、室町時代、展示番号4)

 あらゆる災難を除くことを祈るため、大般若経(だいはんにゃきょう)を転読する際の本尊として使われた画像。釈迦如来(しゃかにょらい)と文殊菩薩(もんじゅぼさつ)・普賢菩薩(ふげんぼさつ)の3尊を中心にして、仏法を守護する16人の神々や、インドから経典をもたらして翻訳した玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)の姿もみえる。かつて根来寺山内にあった成真院(じょうしんいん)という子院に伝来した資料である。

 


 

2 地獄の鬼を従えるほとけー地蔵菩薩像(じぞうぼさつぞう)
                           (個人蔵、室町時代、展示番号12)

 地蔵菩薩は、六道(りくどう)の世界で煩悩(ぼんのう)に苦しむ人びとを全て救済するほとけとして、信仰を集めてきた。僧侶の姿であらわされることが一般的。この作品では、地獄で人びとを苦しめる地獄の鬼や役人を、屈服させるような地蔵菩薩の姿として描かれている。地獄の苦しみを少しでもやわらげることを、人びとはこの絵に祈ったのであろう。

 


 

3 十二天像(じゅうにてんぞう)の優品 (個人蔵、鎌倉時代、展示番号19)

 古代インドのバラモン教やヒンドゥー教から仏教に取り入れられて、それぞれの方角を守る神々の組合せとなったのが十二天である。今回展示する作品は、12幅のうち10幅が鎌倉時代後期に制作されたもので(展示は8幅)、すみずみまで丁寧に描きこまれており、彩色(さいしき)もよい状態で残されている優品である。

(毘沙門天像()、帝釈天像()