見どころ


 

道成寺縁起の世界

(道成寺縁起A-1本  1巻 江戸時代 和歌山県立博物館蔵)

 道成寺縁起は、熊野から日高地方を舞台にした有名な昔話です。熊野詣をする安珍(あんちん)というお坊さんに恋をして、だまされた清姫(きよひめ)が、安珍を追いかけるなかで大蛇に変身し、道成寺の鐘のなかに隠れた安珍を焼き殺したことで、二人とも蛇に生まれ変わることになりました。それをお坊さんが法華経(ほけきょう)を読んで供養して、蛇に生まれ変わった二人が成仏する、というお話です。

 和歌山県立博物館では、道成寺縁起を全部で6巻所蔵しています。そのうちの5巻について、展示替えをすることで、すべての部分展示します。また、それぞれの絵巻物の部分を展示するのではなく、絵巻物のはじめから終わりまでを展示し、ストーリー全体を見て読んでいただけます。


きのくにの有名人

(西行物語絵巻  1巻 江戸時代 和歌山県立博物館蔵)

西行(さいぎょう)は、もとは紀の川市竹房(たけぶさ)出身の武士です。出家して、西行と名のりました。西行の出家から亡くなるまでの生涯を描いた絵巻物が、西行物語絵巻です。歌人として有名な西行は、和歌山の景色を見てたくさんの歌を詠んでいます。ここでは那智の滝を見て、「木のもとに 住みける跡を 見つるかな 那智の高嶺(たかね)の 花を尋て」、という歌を詠んでいるところを紹介しています。

 そのほか、高野山で歌を読んでいる場面も紹介します。


熊野の神様

(熊野権現縁起絵巻 中巻  1巻 江戸時代 和歌山県立博物館蔵)

 熊野の神様の由来を描いた熊野権現縁起絵巻(くまのごんげんえんぎえまき)という絵巻物があります。インドの「マカダ国」の善財王(ぜんざいおう)と五衰殿(ごすいでん)の女御(にょうご)との間に生まれた王子が成長し、ちけん上人と出会い、善財王と対面ののち、これらの人々が熊野へやって来て神様になるという話です。

 この絵巻物を絵本にしたものに、『くまののかみさま』(わかやま絵本の会)があります。この絵本の読み聞かせ会を、展示とあわせて行います。