展示構成とそれぞれのみどころ


1章 聖地那智山への祈り
  @ 熊野三山の縁起と神仏
  A 観音の浄土・那智山
  B 経塚に込められた祈り
  C 埋納された曼荼羅壇

  那智大滝へ向かう参道には、人々が来世への思いを託してお経や仏像などを埋めた経塚が数多く残っています。ここから出土した那智山青岸渡寺の重要文化財の仏像をはじめ多数の資料を展示します。東京国立博物館所蔵の那智経塚出土品は26年ぶりの里帰りです。

2章 中世の那智山
  @ 社家の成立とその展開
    
@ 那智山の一山組織
    A 尊勝院の興隆
    B 実報院の成立と台頭
    C 廊之坊の勃興
    D 実報院勢力の拡大
    E 中世から近世へ
    F 藤倉城跡と川関遺跡

  A 広がる信仰
    
@ 参詣の組織とその様相
    A 諸国から熊野へ

  B 那智山周辺の生業

 那智山が大変栄えた中世という時代。その様子を、重要文化財・那智大社文書をはじめとする貴重な中世文書からご覧頂きます。これらの古文書は、ほとんどが初公開資料です。熊野信仰の実態をつたえる膨大な文書群をご堪能下さい。

3章 信仰の重層性─那智参詣曼荼羅から見る─
  @ 那智参詣曼荼羅の機能─本願寺院と勧進活動─
  A 神仏習合の造形
  B 参詣曼荼羅に描かれた信仰の場
    
@ 十二所権現
    A 如意輪堂
    B 那智滝
    C 浜の宮と補陀洛山寺
    D 奥ノ院
    E 妙法山阿弥陀寺

 中世後期の那智山の様子を描いている那智参詣曼荼羅。本願とよばれた寺院で、熊野比丘尼らがこれを使って絵解きを行い、集めた費用で建物の建立や道などの補修を行いました。 この絵には、神・仏・修験など、さまざまな宗教が混じり合った、かつての信仰のあり方を見ることができます。日本中から参詣者が集まってきた那智山の魅力を、描かれた光景から追体験していただきたいと思います。大きな那智参詣曼荼羅がずらりと並ぶ迫力をお楽しみ下さい。

4章 近世・近代の那智山
  @ 近世の那智山復興と整備
  A 那智山と関わる村々
  B 那智の火祭と那智田楽─扇会式の伝統─
  C 近代の那智山

 江戸時代以降の那智山は、どんな歴史をたどったのでしょうか。那智山における幾度もの堂舎の建立と修造、周辺の村々との関わり、祭礼や芸能の継承、そして近代の神仏分離・観光開発のようすをご覧頂きます。

5章 那智山周辺の文化─那智勝浦町の文化財─
  @ 大泰寺の文化財
  A 色川郷の文化財

 那智山が所在する那智勝浦町には、多くの文化財が残されています。那智山の周辺に位置する、大泰寺や色川郷の文化財を紹介します。

6章 那智滝を描く─和歌山ゆかりの画人たち─

 那智滝は多くの画人たちが画題とし、作品を残しました。和歌山ゆかりの画人の作品から、近世から現代まで、描かれた那智滝をご覧頂きます。