重要文化財 金銅鳥頸太刀 (紀の川市・丹生神社蔵) 

 紀の川市上丹生谷の丹生神社に伝わる太刀で、付属する入子鞘にある墨書銘から根来寺門前町の坂本に住む金物大工が文明2年(1470)に製作し、丹生神社に奉納したものであることが分かる。 拵の柄頭には金銅製の鳥頸形を付け、目貫には竹に雀をあしらった透かし彫りの金具を嵌めている。坂本の町では、漆器を生産する工房跡なども発掘されており、こうした高度な技術をもった職人が多く住んでいたことが窺える。 なお、別の墨書銘から、奉納の願主が根来寺の西谷に僧房を構える粉河地方の土豪・丹生屋氏であったことも分かる。根来寺支えていたのは、こうした近隣の土豪勢力であった。

 墨書銘 「紀州根来寺坂本住人金物之大工左右衛門尉家次宇千平朝臣 都記源蔵小河住人
       文明二年庚寅九月廿七日/紀州南河群小 丹生大明神之御剱也 願主根来寺西谷行真房丹生屋道言」