・中世の根来寺(大伝法院)領山東荘のあった現在の和歌山市山東地区には、「覚鑁が加持祈祷で猛獣や妖怪を退治しながら池を作った」などという伝承が残され、覚鑁を祀る覚鑁堂も建てられています。また、隣接する日前宮領和田荘と の境界付近では、農業用水を複雑に分配する水路網が構築されています。和歌山大学日本史ゼミでは、こうした山東地区の調査を行う中で、根来寺の地域支配の実像を探ってきました。今回はそうした調査成果の一端を紹介します。
・根来寺は、とくにその行人方を中心に現在の泉南地域にも勢力を伸ばし、荘園領主の代官などとして年貢の収納を行っていました。現在の泉佐野市内の旧家には、天文22年(1553)に作られ、根来寺惣分代官の僧が使っていたことが刻 銘によりはっきりと分かる年貢収納枡が残されています。今回は県外に残る根来寺の足跡としてこの枡を展示し、根来寺の地域支配の展開についてふれます。
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