下里古墳は紀伊半島南部の東岸、熊野灘に面した那智勝浦町の海浜に造営された五世紀代の前方後円墳である。全長は約四五メートルで周濠を持ち、前方部を西に向け主軸は東西に置かれている。後円部には、主軸の方向に沿って長さ四.七五メートルの長大な竪穴式石室が置かれ、ガラス製小玉・碧玉製管玉・鉄剣片などが発見されている。石材には砂岩の割石と川原石が用いられ、西壁は丸みをもたせて積み上げられている。