展示のみどころ


  

【みどころ1】 西行・明恵に関わる新収集資料を初公開!

 


 

【写真1】西行上人集
    (さいぎょうしょうにんしゅう)

 

 【写真2】明恵上人夢記(断簡)
    (みょうえしょうにんゆめのき だんかん)

 和歌山県立博物館では、継続的に資料の収集活動を行っております。そのうち、近年収集した西行(さいぎょう)・明恵(みょうえ)に関係する資料を初公開いたします(出陳資料一覧参照)。

 西行(1118~90)は、田中荘(たなかのしょう)竹房(たけぶさ)(紀の川市竹房)に拠点をおいた武士の家に生まれ(俗名を佐藤義清(のりきよ)という)、京都で天皇や公家に仕え武士として活動していましたが、23歳の時に出家し、諸国をめぐり、各地で様々な和歌を詠みました。【写真1】は、西行が自らの和歌をまとめた歌集で、それを室町時代に写した写本です。高野山や熊野、また熊野古道沿いの地域など、和歌山に関係する歌も収められています。

 明恵高弁(こうべん)(1173~1232)は、石垣荘(いしがきのしょう)吉原(よしはら)(有田川町吉原)で湯浅党(ゆあさとう)という武士団の家系にある家に生まれました。その後出家し僧となり、厳しい修行生活を続け、戒律(かいりつ)を重視し、仏教の改革に努めたことでも有名です。明恵は、夢を仏の世界からのメッセージと確信していたため、丁寧に夢を記録し、それが「夢記(ゆめのき)」と呼ばれる一群の書として残されました。【写真2】は、その夢記の断簡です。

 そのほか、近年新たに寄託を受けた湯浅党に関わる古文書も展示します(初公開!)。

 

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【みどころ2】 新指定文化財を指定後「初公開」!

   【写真3】諾距羅尊者像
        (なこらそんじゃぞう)

 

  【写真4】伐闍羅弗多羅尊者像
          (ばじゃらぶたらそんじゃぞう)

(ともに十六羅漢像のうち)

 有田川町浄教寺(じょうきょうじ)が所蔵する十六羅漢像は、中国絵画の図像の影響が見られる十六羅漢像で、16幅すべて完存すること、また明恵(みょうえ)上人(しょうにん)樹上(じゅじょう)坐禅像(ざぜんぞう)(高山寺蔵)と近似し、明恵の羅漢信仰を物語ることなど、貴重な資料として、昨年度新たに和歌山県指定文化財になりました。

 その浄教寺所蔵の十六羅漢像について、県文化財指定後、初めて公開いたします。この機会に、改めて貴重な明恵ゆかりの文化財をご覧いただけたらと思います。なお、16幅まとめて展示するのは、11年ぶりのことになります。