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十一面観音立像
(じゅういちめん-かんのん-りゅうぞう)

   重要文化財 木造
   像高113.8p
奈良時代(8世紀)
   有田市・円満寺
(えんまんじ)
 

 8世紀後半に造立された檜(ひのき)の一木造(いちぼくづくり)による十一面観音像で、細い冠帯、胸の細かな瓔珞(ようらく)や肩から腕に垂れた天衣(てんね)にいたるまで、丁寧に刻み出している。張りのある肉身部、均斉な衣文(えもん)、無駄のない直立した姿勢で、檀像(だんぞう)や乾漆像(かんしつぞう)を意識したような造形となっている。頂上仏(ちょうじょうぶつ)・頭上面・化仏(けぶつ)は室町時代、光背・台座・華瓶(けびょう)は江戸時代のそれぞれ後補である。和歌山県内における最古の木彫像として、非常に貴重な資料である。

 


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牡丹蒔絵手箱
(ぼたん-まきえ-てばこ)

 木造国宝 古神宝類(こしんぽうるい)のうち
   縦27.8p 横34.7p 高22.4p
南北朝時代 明徳元年(1390)
   新宮市・熊野速玉大社
(くまのはやたまたいしゃ)
   
 

 熊野速玉大社第5殿の禅師宮(ぜんじのみや)にあてて奉納された手箱の一具で、箱の外面を梨子地(なしじ)として、螺鈿(らでん)・高蒔絵(たかまきえ)・銀切金(ぎんきりかね)の技法で、牡丹(ぼたん)をあらわしている。箱の中には大小2段の懸子(かけご)が収まるようになっており、そこに白銅鏡(はくどうきょう)とその蒔絵(まきえ)鏡箱、いずれも銀製の鑷(けぬき)・鋏(はさみ)・耳掻(みみかき)・髪掻(かみかき)・眉作(まゆつくり)・歯黒筆(はくろふで)・櫛払(くしはらい)・解櫛(ときぐし)、白磁皿(はくじのざら)、そして29枚の蒔絵櫛が収納されている。

 


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花鳥群狗図 長沢芦雪筆(部分)
かちょう-ぐんく-ず ながさわ-ろせつ-ひつ)

   重要文化財 紙本著色(しほんちゃくしょく)
各面 縦174.5p 横91.5p
江戸時代 天明6年(1786)
串本町・成就寺
(じょうじゅじ)
   
 

 成就寺本堂には、長沢芦雪による襖絵(ふすまえ)があわせて45面残されており、いずれも重要文化財に指定されている。写真は、描かれた全8面のうちの4面である。犬の親子の団欒(だんらん)を左方に描き、その右には、岩の間から生えた躑躅(つつじ)の枝に小鳥がとまる。躑躅の花と葉には彩色(さいしき)がみられ、水墨画が大半を占める南紀寺院の芦雪の絵画としては、珍しい作品といえよう。