展示のみどころ
和歌山県立博物館が所蔵する川中島合戦図屛風は、武田信玄と上杉謙信が一騎打ちをする場面を描くことで非常に有名です。実は有名な場面がもうひとつあります。百姓が武器を持ち、上杉謙信軍の荷駄隊(にだたい)を襲撃し、兵糧(ひょうろう)を奪っている場面です。当時の百姓が非常にたくましく、力強かったことを物語ります。
川中島合戦図屏風(かわなかじまかっせんずびょうぶ)六曲一双 部分 (当館蔵)塩崎村(長野県長野市)の百姓が上杉軍の荷駄隊を襲う場面
鎌倉時代~室町時代に生きた人々は、争いごとが起こった際に私たちとは違った問題解決の方法をしています。そのうちの一つが湯起請(ゆぎしょう)という方法です。湯起請とは、起請文(きしょうもん)という誓約書を書いた後に、熱湯に手を入れて、やけどの具合で、言っていることが嘘か本当か、ということを判断する方法です。応永24年(1417)に、願成寺(がんじょうじ)(海南市)の百姓等のあいだで、税金のことについてもめ事が起こりました。その際に、湯起請で決めてはどうかという案がでています。
沙弥某下知状案(しゃみなにがしげちじょうあん)1通 (個人蔵) 和歌山県指定文化財