展示のみどころ
和歌山県指定文化財
金唐革陣羽織 伝徳川家康所用(きんからかわじんばおり でんとくがわいえやすしょよう)
1領
紀州東照宮蔵
洋服の上に着るマントのような形をした陣羽織です。牛の革でできていて、表面には紙のように薄く延ばした金箔(きんぱく)が貼られています。ヨーロッパで流行した形や色などをまねて、日本で作ったといわれています。徳川家康が着用し、のち家臣の渥美(あつみ)源五郎(げんごろう)に分け与えたと伝えられています。明治時代、渥美家から紀伊藩初代藩主徳川(とくがわ)頼宣(よりのぶ)を祭る南竜(なんりゅう)神社に寄付されました。のち、南竜神社は紀州東照宮に合祀(ごうし)されました。
渥美家伝来資料のうち 旗指物 馬印 (あつみけでんらいしりょう) (はたさしもの うまじるし)
1籏
個人蔵
旗指物とは戦場で敵味方の識別に用いられた旗のことで、このうち馬印は、武将の所在を示す目印として、馬の側(そば)に立てられたものです。この馬印は、絹製で、紺地(こんじ)に中央には日輪(にちりん)、その右側に渥美家当主が代々名乗る「あつみ源五郎(げんごろう)」を、それぞれ紙の上に金箔(きんぱく)を押し、糸で縫い付けられています。右側と上部とは、竿が入れられるように、袋縫いされています。これまで渥美家の子孫の方が、大切に守り続けられてきました。
御召関船「文彩丸」船名額 (おめしせきぶね「ぶんさいまる」せんめいがく)
1面
和歌山県立博物館蔵
御召関船は、もともとは軍事的な目的で作られた船です。やがて藩主の移動用に使われ、和歌祭(徳川家康を祭る紀州東照宮の祭礼)では、和歌浦の沖に出て、祭りを祝って、船上で音楽を鳴らし、船歌が歌われました。この船名額(船名を記した額)は、「文彩丸」という紀伊藩の関船のものです。船名額は、艫(へさき)真向(まむき)の艫屋倉(ともやぐら)(船尾まん中のデッキ)のうえに掲げられました。和船研究の第一人者である石井(いしい)謙治(けんじ)氏が収集され、近年、当館に寄贈されました。