展示のみどころ


 

1 重要文化財指定後、和歌山で初公開! -村上武吉過所船旗-



重要文化財 村上武吉過所船旗 個人蔵

 天正9年(1581)、瀬戸内海一帯を支配していた水軍の村上武吉が、加太(和歌山市)に本拠を置く向井強右衛門尉(むかいすねえもんのじょう)に与えた過所船旗(かしょせんき)です。過所船旗とは、海での通行の許可をうけていることを示す旗印のことです。この旗をかかげることで、安全に航行することができました。平成27年(2015)に国の重要文化財に指定されました。



2 和歌山漁業の全貌 -紀州漁業絵巻-



紀州漁業絵巻 和歌山県立図書館蔵

 紀伊国で行われていた漁法(漁獲期、網の使用方法、対象とした魚、船数・人数など)について、図と文章でまとめた絵巻。明治時代の内国勧業博覧会での出展にかかわり、実際に漁業に従事している人々からの聞き書きをもとに作成されたものです。ボケ網・ハマチ網・四艘張網(よそばりあみ)・枡網(ますあみ)・捕鯨など、合計19種類の漁法が紹介されています。



3 瀬戸内海と和歌山との結びつき  -備前焼 甕-



 和歌山県指定文化財 備前焼 甕  長寿寺蔵

 白浜町の長寿寺境内から出土した備前焼の大甕。表面に「暦応五年(1342)」、「備前国住人香登御庄(岡山県備前市)」など、年号や地名、魚や僧の絵、菊の紋などが刻まれています。年号の記される備前焼としては最古のものです。備前焼が西牟婁郡まで流通していたことを示し、瀬戸内海と紀伊半島の交易の実態を伝える遺物として貴重です。



4 紀州廻船の繁栄ぶり -宝殿屋根葺替棟札-


(表)


(裏)

 日高町の比井浦は、江戸時代の半ば以降、廻船の拠点となっていました。この棟札は、天保7年(1836)に比井浦の若一王子神社の社殿の屋根を葺き替えた時のものです。22艘(そう)もの廻船と船頭が関わっていました。若一王子神社へは、18世紀半ば以降、廻船業従事者により、絵馬をはじめ、石段・石橋・鳥居など様々なものが奉納され、今に残されています。比井浦が廻船で非常に栄えていたことを物語ります。

宝殿屋根葺替棟札 若一王子神社蔵

比井若一王子神社鳥居



5 衣奈浦の暮らし -貸米日記-



由良町指定文化財 貸米日記  個人蔵

 衣奈浦は、日高郡由良町に位置する村(浦)です。この古文書は、慶長6年(1601)に、衣奈浦で米を貸し付けた際の記録です。担保として、牛やハマチ網・打網、土地(田地)などが書き上げられている点が注目されます。衣奈浦では網を用いた漁業が行われているのはもちろんのこと、牛などの家畜が飼われていました。衣奈浦では、農業・漁業がともに行われていたことを知ることができます。