展示のみどころ


①和歌山県立博物館では23年ぶり! 

紀州の三大「やきもの」を網羅する特別展

 「紀州三大窯(きしゅうさんだいがま)」とは、数ある和歌山のやきものの中でも特に有名な、偕楽園焼(かいらくえんやき)・瑞芝焼(ずいしやき)・南紀男山焼(なんきおとこやまやき)のこと。これらは江戸時代後期に生産が始まりました。明治初期に外国でも人気を博した偕楽園焼、殿様が贈り物にも用いた瑞芝焼、染付の製品で藩を支えた南紀男山焼と、それぞれ特色があります。当館で、三大窯を網羅する特別展を開催するのは実に23年ぶり。展覧会カタログも作成します。

偕楽園焼(かいらくえんやき)
 交趾写
(こうちうつし)二彩(にさい)寿字文(じゅのじもん)花生(はないけ)

(「寿」の字をデザインした花瓶)  個人蔵

 

②「年代」の判明にこだわった展示で、歴史を追う

 日常生活に使われるものでもあったやきものは、制作年代がわからないものも多くあります。その中でも、なるべく年代が判明する資料にこだわることで、紀州の文化や技術の変遷を追おうと試みています。

南紀男山焼(なんきおとこやまやき)
 染付
(そめつけ)葵文散(あおいもんちらし)火鉢(ひばち)

(徳川家の葵文を散らした火鉢)  長保寺蔵 文政12年(1829)

 

③ふだんは見られない遠方の作品も勢揃い!

(かいらくえんやき)
 偕楽園焼

                (こうちうつしかもこうごう)
             交趾写鴨香合

(お香を入れる、鴨の形の器)

文政10年(1827) 滴翠美術館蔵

紀北町指定文化財

(なんきおとこやまやき)
  南紀小山焼

               (そめつけくものすもん) (ちゃたく)
          染付蜘蛛の巣文茶托

(蜘蛛の巣を描いた、
         茶碗をのせる台)

明治3~5年(1870~72)
        海山郷土資料館蔵

 特別展である今回は、多くの名品を有する兵庫県の滴翠美術館や、短い期間しか生産されなかった珍しい「南紀小山焼(なんきおやまやき)」を所蔵する三重県の海山郷土資料館などにもご協力いただき、作品をお借りしています。「天才陶工」ともいわれる京都の仁阿弥道八(にんなみどうはち)が和歌山で作ったやきものの里帰り展示も。この機会にぜひご覧下さい。

(ずいしやき)(せいじこいみみはないけ)
 瑞芝焼 青磁鯉耳花生

(鯉の形の耳がついた花瓶)

天保11年(1840)拝領
                           個人蔵

※展示資料は、文化財保護上の理由から、予告なく変更になる場合があります。予めご了承ください。