野呂介石(のろかいせき1747〜1828)は、江戸時代後期に紀州で活躍した著名な文人画家です。祇園南海(ぎおんなんかい、1676〜1751)や、桑山玉洲(くわやまぎょくしゅう、1746〜99)とならび、紀州の三大文人画家の一人に数えられています。

 介石は、和歌山城下の富裕な町人の家に生まれ、若くして紀伊藩の儒学者である伊藤蘭嵎(いとうらんぐう、1694〜1778)から学問を教わりました。その後、14歳ごろからは京都へ出て絵を学び、はじめは、黄檗画僧(おうばくがそう)の鶴亭(かくてい、1722〜85)についたようですが、21歳の時には、京都のもっとも著名な画家・池大雅(いけのたいが、1723〜76)に師事し、また、同郷の桑山玉洲や大坂の文人・木村蒹葭堂(きむらけんかどう、1736〜1802)とも交流を深めています。寛政5年(1793)、47歳の時には紀伊藩士に取り立てられ、以後、公務のかたわら熊野をはじめとする紀州各地を訪れて、豊かな自然や風景を題材に精力的な絵画制作を続けました。さらに、当時の日本の文人画家たちがあこがれた中国絵画からも多くを学び、質の高い中国絵画を実見したことが知られています。

 一方、晩年には画家としての評価も非常に高く、介石に教えを受けようと全国から多くの文人たちが訪れたため、各地の文人画家たちにも大きな影響を与えました。とくに、紀州では多くの門人を育て、のちの紀州の文人画家たちに指導的な役割を果たしたのです。

 このように、文人画家として偉大な足跡を残した野呂介石ですが、その回顧展は30年以上開催されていません。この間に、新たな介石作品も発見されましたし、また、彼の中国絵画学習についても新知見が提示されました。そこで、この特別展では、介石の作品とともに、その交友関係や紀州画壇に果たした役割、さらに新知見などふくめて、彼の画業を大規模にご紹介します。

*重要文化財2件、重要美術品1件を含む187件249点。


期間中、前期(10/27〜11/15)・後期(11/17〜12/6)を中心に、
大幅な展示替えをおこないます。

                        詳しくは、目録をごらん下さい。→

 

 ◆フォトコンテスト「紀州の豊かな風景を写す」(和歌山県立博物館友の会と共催)
   紀州の自然や風景をテーマとした写真を募集してフォトコンテストをおこないます。
   入賞作品については「野呂介石展」の会期中に2階のギャラリーで展示いたします。
   *募集は終了しました。たくさんのご応募、ありがとうございました。

    なお、入賞作品と応募作品の一部をブログにて公開しています。

 ◆特別展記念講演会
   11月8日(日)   13:30〜15:00 (和歌山県立博物館友の会と共催)
    講師:佐藤康宏氏(東京大学大学院人文社会系研究科教授) 
    演題:「南画と文人画―野呂介石以前」

   11月23日(月・祝)  13:30〜15:00
    講師:橋爪節也氏(大阪大学総合学術博物館教授)
    演題:「江戸時代の大坂画壇と野呂介石―木村蒹葭堂を中心に―」

 ◆「古典の日」記念講演会
   11月1日(日)   13:30〜15:00
    講師:安永拓世(和歌山県立博物館学芸員)
    演題:「野呂介石にとっての古典」

 ◆博物館講座
   11月29日(日)   13:30〜15:00
    講師:安永拓世(和歌山県立博物館学芸員)
    演題:「野呂介石の画業と文人交流」

 ※記念講演会・博物館講座の会場は、いずれも博物館となりの和歌山県立近代美術館
   2階のホールです。

 ◆ミュージアムトーク
   11月 → 日(祝)、日(土)、 15日(日)、 21日(土)
   12月 → 日(土)
   いずれも13:30〜14:30 会場は展示室内

 

野呂介石の作品が
体系的に集められた

唯一の図録!!

図録掲載のすべての作品に詳細な解説と落款・款記・印象、さらに詳細な年表つき。

近世文人画研究の必読書です。

*255ページ

当館ミュージアムショップまたは、
郵送でご購入頂けます。
ぜひ、お求め下さい!

一冊 1,000円
   2,000円

郵送購入の詳細は、こちら→

 

 

 休 館 日  月曜日(ただし、11月23日(月・祝)は開館、翌24日(火)は休館)

 開館時間  9時30分〜17時(入館は16時30分まで)

 入 館 料  一般800円(650円)・大学生500円(400円)

       ※( )内は20名以上の団体料金
       高校生以下、65歳以上の高齢者、障害者の方、および県内に在学中の
       外国人留学生・就学生の方は無料       

 

協  力  (財)和歌山県文化財保護協会 ・(社)和歌山県文化財研究会 ・和歌山県立博物館友の会

     

 

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