熊野詣


11世紀の末、上皇(法皇)を始めとする皇族や貴族の度重なる熊野御幸が始まった。上皇たちの参詣は、白河・鳥羽・後白河・後鳥羽の4代の間に90数回に及んだ。熊野へ向かったのは彼らだけではない。「蟻の熊野詣」といわれたように、一般庶民も続々と参詣の旅に出た。女性や身体障害者など、他の寺院が忌避した人びとの参詣に大きく門戸を開いていたことも、熊野信仰の大きな特色である。