展示の趣旨
住空間の変化により、現在ではあまりなじみが無くなった屏風。皆さんにとって、屏風と言えば、 博物館や美術館で「鑑賞する」「絵画」であるという印象が強いのではないでしょうか?
そもそも、屏風は折りたたみ式の「間仕切り」や「風よけ」であり、機能性を重視した可動式の壁面として 古くから用いられてきたものです。 しかし、その広い面を活かして、絵画や書、あるいは金銀の装飾がほどこされるようになると、 次第に、室内を仕切ると同時にその「場」を飾れるという、「用」と「美」を兼ねそなえた 調度品へと変化していきました。 こうした装飾のほどこされた屏風は、必然的に周囲の空間を意味づけるという役割も担うようになったのです。 その結果、屏風には時と場合に応じた多くの機能が与えられ、 また、用いられる「場」に合わせたさまざまな意味も重ね合わされるようになりました。 たとえば、結婚式の新郎新婦が背にする金屏風は、婚礼という場を特別で晴れやかな空間に演出する 一つの道具立てになっていると言えるでしょう。 屏風をひらくことにより、そこに新たな空間が生まれ、その瞬間から鑑賞がはじまるのです。
この企画展では、館蔵品や収蔵品のさまざまな屏風を通して、屏風に託された意味や、 その鑑賞のありかたをご紹介します。 この展覧会を機会に、一度、家に眠っている屏風をひらいてみてはいかがでしょうか。
 屏風をしろう!
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