和歌山県立博物館では、平成18年度に「根来−発掘された中世都市−」、平成19年度に「根来寺の今と昔」と題する企画展を開催してきましたが、ここ数年の取り組みの総まとめとして、今年度は、下記要領で企画展「根来寺の“内”と“外”」を開催します。
根来寺は、高野山上における金剛峯寺方と大伝法院方の確執を経て、12世紀半ばに大伝法院方を率いる僧・覚鑁によって、現在の岩出市根来の地に開かれた寺院です。根来寺の呼称は、覚鑁の死後、およそ13世紀初頭からみられますが、その後、16世紀までの間に紀北および泉南地域で着々とその勢力を拡大し、これらの地域の公権力として大きな役割を果たしていました。また、こうした寺院の「外」における活動の一方で、「内」においては、聖教の書写活動をはじめとした教学活動の隆盛によって、根来寺は幅広い地域の僧侶たちの学問の拠点としても機能していました。
天正13年(1585)、豊臣秀吉の紀州攻めにより、根来寺は大きな打撃を受けますが、根来寺の当時の隆盛ぶりは、旧境内域を対象とした30年に及ぶ発掘調査の成果によってきわめて具体的に知られるようになりました。今回の企画展は、こうした発掘調査によって出土した資料とともに、根来寺における教学活動の展開にも光を当て、現在の最新の研究成果によって、根来寺の全体像を来館者の皆様に紹介します。
また、今回は、和歌山大学および根来寺と連携し、和歌山大学学生が展示作業の一部に従事し、子ども向け解説パネルを作成する他、展示品のボランティア・ガイド(展示解説)も行います。また、「フィールド・ミュージアム」としての根来の魅力を再発見・発信してゆくため、会期中に、参加者を募って「中世の根来を歩く」と題する現地ウォーキングを実施し、根来のすばらしさを参加者とともに共有したいと考えています(詳細は下記)。
主催:和歌山県立博物館 共催:和歌山大学紀州経済史文化史研究所 後援:総本山根来寺・根来寺文化研究所
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