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 (尊経閣叢刊 2)「尊経閣叢刊」について

 「尊経閣」というのは、江戸時代に加賀(現在の石川県)の藩主であった、前田家に伝わった古い典籍(書物)に付けられた名前です。前田家の藩主が集めた資料は、非常に貴重なものが多かったので、学問のために複製を作り世に広めること、そして「関東大震災」のような大災害によって資料が失われた場合にそなえることを目的として、前田家第16代当主・利為(1885〜1942)は、大正15年(1926)6月に『古語拾遺』を第1番目の複製として刊行しました。これが尊経閣叢刊という複製のシリーズの始まりでした。

 その後、昭和18年(1943)の『玉燭宝典』まで毎年刊行されましたが、その間日本は戦争の道をつきすすんだこともあり、ついに物資の不足から中断することになりました。戦後は、ふたたび3件の複製を刊行しましたが、昭和27年(1952)7月の『建治三年記』を最後に、刊行は行われていません。しかし、きびしい戦中・戦後の時代にもかかわらず、64回にわたって刊行された複製の中には、おどろくほど高度なレベルでつくられたものもあります。

当館学芸課長 竹中康彦 


複製・古語拾遺(日前宮の神の部分)


 複製・建治三年記(最後の尊経閣叢刊)

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