日本では古くから、もとになる本(親本)を忠実に写す「模写」が行われていました。模写には、親本の上にうすい紙をおいて上から筆でなぞる「透写」、親本を横においてまねて写す「臨写」などがありました。 明治時代に入って、細密な印刷によって複製を制作する技術として、コロタイプ印刷が日本にもたらされました。この技術は、19世紀半ばにフランスで発明され、ドイツで改良されたものです。感光液をまぜたゼラチンをガラス板にぬり、撮影されたフィルムを密着させ、紫外線を当てることによって、固まってできた細かなしわに、インクを付けて印刷するものです。一般的には白黒印刷が多かったのですが、原色で印刷する場合には、カメラに四色のフィルターを付けかえて撮影して、それぞれの製版を作り、重ね刷りして印刷します。 コロタイプ印刷は、大量の印刷ができないため、現在ではほとんど行われておらず、平板印刷(オフセット印刷)やデジタル印刷などが主流になっています。 当館学芸課長 竹中康彦
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